【開催報告】パーソル高度バイオDX産業人材育成協働研究所ミニシンポジウム
次世代バイオ技術者に求められる人材像と育成方法
~異業種・他モダリティからのスムーズな人材移行のために~
2024年1月23日(火)大阪大学 吹田キャンパス サントリー記念館 5F メモリアルホールにおいて、ミニシンポジウム「次世代バイオ技術者に求められる人材像と育成方法~異業種・他モダリティからのスムーズな人材移行のために~」を開催いたしました。
バイオ医薬・再生医療分野の人材育成に取り組まれる3名を講師とし、講演会及び座談会を行いました。特に座談会では、会場にご来場いただいた方々から多くのご質問やコメントをいただき、大変闊達な議論が交わされました。
講演会 会場・オンライン同時開催
大政 健史 先生
(大阪大学大学院工学研究科 教授/パーソル高度バイオDX産業人材育成協働研究所 所長)
「バイオ医薬品の開発・製造工程における昨今の潮流 -次世代バイオ技術者として活躍するために必要な能力と大学での学びについて-」
バイオ医薬分野のトレンド、開発から製造に至るまでに必要なスキル、また社会人が学び直しできる大学のシステムをご紹介いただきました。聴講者からは、学び直しの機会として大学講義や専門プログラムが利用できることを知らなかったという声を多くいただきました。
古江 美保 先生
(株式会社セルミミック 代表取締役)
「バイオテクノロジー分野における細胞培養の課題と対策 -ゲーム感覚のオンライン・実習アプリケーション・バイオ・マスター®の活用について-」
オンライン上でのバイオトレーニング方法として、バイオ・マスター®をご紹介いただきました。バイオの手技修得には現地トレーニングが必須とされていますが、ゲーム感覚でのオンライントレーニングが補助的なツールとして有用だというお話に、ご興味を示された参加者の方も多くいらっしゃいました。
内田 和久 先生
(一般社団法人バイオロジクス研究・トレーニングセンター(BCRET)専務理事代行)
「座学と実習でバイオ医薬品のプロセス開発手法を学ぶ ―BCRETで実施するトレーニングについて―」
バイオ医薬品の開発には、CMC開発と製造に関わる人材が必要であること、またBCRETが取り組まれている実習や研修をご紹介いただきました。研修は抗体医薬の他に、AAVベクター、mRNA医薬/ワクチンなど多様なモダリティについて実施されているとのお話に、ご参加者からは最先端の知見を得られたというお声をいただきまし た。
座談会 会場のみ/オンライン配信無
テーマ「他分野からバイオ医薬品開発/製造に移行する人に必要な能力とは?」
座談会ではバイオ分野の人材に求められるスキルや、未経験の分野に適応できる人材要件など、人材育成に関する話題のほか、実験手技の自動化やAIの導入によって生じる変化などを会場の皆様を交え、活発に議論されました。
古江先生は、バイオ分野で最低限必要なスキルとして「観察力」が重要だとお話されました。重要なポイントを押さえて観察をするほか、その記録をきちんととることができることなど、基本に立ち返れば当たり前だと思われることこそが大切であることをご指摘いただきました。
また、未経験の新しい分野に適応できる人材の要件についてのテーマでは、大政先生より「まず興味・関心を持つことができること」、「継続して取り組むことができる人」、さらにバイオ分野では複数人のチームで課題に取り組むため、「チームワークを築ける力」も非常に重要と感じているというお話をいただきました。
実験手技の自動化やAIの導入によって生じる現場の変化についてのテーマでは、内田先生より、自動化とAI導入はまず異なるものであること前提としたうえで、新しいシステムが導入されることで働き方に変化が生まれ、別の新たなスキルを身に着ける時間を確保できること になるのではないかというお話をいただきました。自動化装置については、人の動きを単純にミミックする(真似る)ものではなく、現在の手法とは全く異なる形のものができたら良いと思うというご意見をいただきました。
新しいモダリティ(医薬品をつくる基盤技術)が次々と生まれるなど変化のスピードが速いにも関わらず、バイオ医薬品分野に従事する人材不足の克服が大きな課題となっている中、今回先生方から発信いただいた様々な手法による人材育成に関する情報に、ご参加いただいた皆様は非常に興味深く耳を傾けていらっしゃいました。
また今回のミニシンポジウムでは、皆様が抱えていらっしゃる人材育成の課題を直接お聞かせいただくことができました。当協働研究所では、引き続き現場の皆様に役立つような人材育成プログラム作りに努めてまいります。
この度はご参加いただき、誠にありがとうございました。